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もくじ

巻頭言

平成22年度 第26回 文化祭

松本理事長 区政功労賞受賞

視覚障害者用防災手帳 江戸川区より本会会員に配付

平成22年度・江戸川区各部懇談会(意見交換会)報告

T 福祉部懇談会

U 土木部&災害対策課

V 広報課懇談会

W文化課・都市開発部施設課・スポーツ振興課・図書館・教育委員会懇談会

区内3警察署にエスコートゾーンの敷設を要望

平成22年度・視覚障害者向け講演会(講座講習会)報告

江戸川ガイドヘルプセンター便り

【クラブの窓】 リズム運動

福耳通信(江戸川区立中央図書館より)

平成22年度・城東ブロック関連行事開催される

城東ブロック第1回スティックボール大会開催される

STT大会報告

城東カラオケ大会で江戸川区完全優勝!!!

やりました! 準優勝 東京都盲高齢者スティックボール大会

蓬平温泉城東親睦旅行&日帰りバスハイク

城東ブロック 新潟県蓬平温泉旅行

江戸川視障協 さつま芋掘りと潮来へのバスハイク

旧中川灯籠流し

暮らしのア・ラ・カ・ル・ト

  1.会員おすすめのお店

  2.便利グッズの紹介

  3.読書の秋におすすめの本

ニュースあれこれ


えどもう歌壇

編集後記




巻頭言


       田名後浩子


 私は、二人目の子供を妊娠中に中途失明しました。それまでは普通の主婦として、母親として生活していましたので、まさか私が視覚障害者になるとは、夢にも思っていませんでした。買い物にも行くことが出来なくなり、お料理をすることもできなくなり、横浜から江戸川区の実家のそばに引っ越してきました。

 毎日、何もする気力がなく、「どうやって子供たちを育てていったらいいのか?私の目はどうなってしまうのか? これから先、どうやって生きていくといいのか?」悩み、落ち込み、絶望の日々が続きましたが、子供たちが私を立ち直らせてくれました。まだ、四感(聴覚・味覚・触覚・嗅覚)も鋭くなく、子育ても非常に大変でしたが、母と共にどうにか子育てをしていくことができました。

 子供たちに手がかからなくなってから、点字を習い、歩行訓練を受け、盲人福祉協会にも入りました。そこで初めて盲人の友人ができ、ガイドヘルパーさんという存在も知りました。色々な方との繋がりで「出前ボランティア」にも参加させてもらい、他の障害者の方達とも交流ができ、様々な社会を知ることができました。

 江戸川視障協にはいくつものサークルがあります。そこで、私は伊藤金四郎先生のご好意で立ち上がったダンスサークルに入り、音楽に合わせて踊る楽しみを知りました。失明前は社交ダンスには、全然興味がなかったので何もわかりませんでした。

 失明して一番辛かったことは「可愛い盛りの子供の顔を見たい」と、いうことでしたが、その次に辛かったことはダンスの特訓でした。「ルンバ・チャチャチャ」とはどういう踊りなのか、言葉での説明とボディータッチだけではイメージがつかず、見えないことには慣れていたはずなのに、目が見えていれば、どんな踊りなのかわかるのにと強く思い、毎日見えない辛さに泣きましたが、今年も「全日本ブラインドダンス選手権大会」で優勝することができました。

 これもサークルを立ち上げてくださった伊藤先生、リーダーとなって私に厳しく指導してくれた池田さん、また、江戸川視障協があったからこそです。  私には老若男女、たくさんの友人、仲間がおり、何物にも代えがたい私の宝物です。もし、今目が見えていたらそれなりの生活を送っているとは思いますが、ここまでいろんな世界の友人との交流は無かったと思います。何をするにも時間がかかったり、手助けがないとできないこともありますが、毎日充実した日々を過ごしています。中途失明になり、落ち込んで人生を投げ出したくなっている方達がたくさんいらっしゃると思いますが、早く立ち直って明るく前向きな人生を送ってほしいと思います。

 私達江戸川視障協の会員は皆大きな波を乗り越えて、明るく元気です。それは、ガイドヘルパーさんやボランティアの方、地域のみなさんが私達を支えてくださっているからこそです。ここに改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。

 また、この度、松本理事長が区政功労賞を授与されました。このようなことも私達障害者にとって大変支えになります。おめでとうございます。
 今号は区との懇談会を始め、城東ブロックでの行事報告、アラカルトなど話題満載です。
 このアイネットがみなさんのお役に立てるとうれしいです。




NPO法人江戸川区視覚障害者福祉協会


平成22年度 第26回 文化祭




─ 松本理事長区政功労賞受賞を祝う会を兼ねる ─

主催 : NPO法人 江戸川区視覚障害者福祉協会
後援 : 江戸川区社会福祉協議会
協力 : 音訳百舌の会・音訳ボランティア風の会
     江戸川点訳メイト・なぎさ点訳友の会・出前ボランティアの会
     在宅福祉グループ・デイジー江戸川・アイフレンズ江戸川

日時 : 平成22年11月23日(祝日) 午前10時〜午後4時10分
会場 : 区立松江コミュニティ会館 1階ホール
     〒132−0025 江戸川区松江7-5-12  電話 (03)5662-5320
受付 : 午前9時30分より(1階ホール前)

《プログラム》


【午前の部 10時〜12時10分】 午前の部は会員外の区内視覚障害者も参加。

1 開会の辞              (10:00〜10:05)
2 文化講演(区障害者向け講演会を兼ねる)        (10:05〜11:00)

    演題 … 私の盲人福祉施設づくり

    講師 … 茂木幹央先生 (養護盲老人ホームひとみ園園長)

3 朗読三題 … 音訳ボランティア           (11:00〜11:30)

 @ 「遠山の金さんと狸と狐」 南 静江 高橋圭子 西山尚美 柴崎由子(風の会)
 A 星新一のショートショート「ちぐはぐな部品より名判決」  田中説子(百舌の会)
 B 詩「オーロラ北極の夜」 クライブ W ニコル        今井千恵(百舌の会)
4 短歌発表 … 朗読  水谷智子           (11:30〜11:40)
5 魅惑の社交ダンス(ドリームクラブ) … 池田定道・田名後浩子他有志
 ※ 江戸川区体育優秀選手賞受賞            (11:40〜12:10)

【休憩 12時10分〜13時】


【午後の部 13時〜16時10分】

 ※ 来賓・ボランティアグループ代表 テーブルスピーチ  (13:00〜13:20)

6 式典  『多田区長さんと共に心と文化のハーモニー』  (13:30〜14:40)

 @ 区歌斉唱
 A 歓迎の言葉 … 松本俊吾
 B 多田区長祝辞
 C 花束贈呈  … 小林智恵子
 D 来賓祝辞


7 松本理事長区政功労賞受賞おめでとう

 @ 江戸川視障協の活動の軌跡 … 水谷智子(朗読)
 A 友人代表祝辞       … 永井 宏(相談役)
 B 花束・記念品贈呈     … 北澤とみゑ・事務職員
 C 謝辞           … 松本俊吾
 D 乾杯           … 宮地昭雄(相談役)

8 文化クラブ発表

  ☆民謡 … 民謡部(若竹)          (司会 岡畠信子)
   『真室川音頭』 『江戸川音頭』  指導・三味線 / 上野榮美先生
  ☆合唱 … コーラス部(若草)        (司会 藤田菊江)
   『夏の光』 『埴生の宿』 『荒城の月』 ピアノ / 瀬沼淳子
  ☆リズム運動 … 女性部有志         (司会 北澤とみゑ)
   『ビリーブ』 『テネシーワルツ』    指導  / 高津容子先生他

【休憩懇談 10分間】

9 カラオケ競演 … 来賓 会員有志          (14:50〜16:10)
10 閉会の辞 … 小野塚耕吉             (16:10)

※ 1階ホール前に会員の生花、舞台脇ボードに短歌と各大会優勝トロフィーを展示しております。

文化講演講師 茂木幹央氏略歴

                   (昭和11年4月8日生まれ 74歳)
3歳の時      はしかのため両眼を失明
昭和34年 3月  日本大学文学部社会学科卒業
   38年 3月  日本中央鍼灸専門学校高等科卒業
      5月   はり師・きゅう師免許取得
   39年 8月 〜 54年3月 国立東京視力障害センター 厚生教官
   48年 5月 〜 52年9月 法務省法務事務官として点字司法試験業務に従事
   54年 4月 〜 現在   養護盲老人ホームひとみ園 園長
平成 9年 9月  埼玉県知事賞受賞
   13年12月  厚生労働大臣賞受賞
   19年11月  秋の叙勲で瑞宝双光章受賞
   20年 2月  全国盲老人福祉施設連絡協議会・第1回太陽福祉文化賞受賞
  ※ 現在、ひとみ園をはじめ、ケアホーム、盲人ホーム等の多くの園長、施設長等を務める。

       ひとみ園成立の経緯
             (深谷市社会福祉協議会ホームページより抜粋)
 この施設は、国立東京視力障害センターの教官をしていた茂木幹央氏が、昭和50年9月の点字新聞で、関東地区では自分の出身県である埼玉県だけに盲老人ホームがない事を知ったことが動機となり成立するに至りました。

 茂木氏はその新聞を読んだ時、埼玉県に盲老人ホームを作ることこそ自分が生涯をかけてなすべき仕事であると痛感し、出身地である深谷市に盲老人ホーム建設事業を推進するための「失明者協会事務所」を設け、「目の見える幸せをこの盲老人ホーム建設事業のために百円だけ分けていただきたい」という百円募金運動を提唱し資金づくりのための活動を開始しました。

 その活動はけわしい道でしたが、多くの団体、個人からの寄付や協力があり、埼玉県にはじめての盲老人ホームひとみ園が完成するに至ったのです。




松本理事長 区政功労賞受賞


           永井 宏


 松本俊吾様、区政功労賞受賞、誠におめでとうございます。
 現在NPO法人江戸川区視覚障害者福祉協会の理事長として、会の統括とガイドヘルプセンターの効率良い運営に携わっておられ、利用者の一人としても感謝に耐えません。

 この江戸川区での経験を生かし、上部団体の社団法人東京都盲人福祉協会における都内全域を対象としたNPO法人「TOMO」のガイドヘルプ事業所の設立運営に尽力されたことも、大きな功績だと思います。

 それとともに、視覚障害者の福祉向上のために、区の障害者福祉課・土木部や広報課・図書館・教育委員会などと積極的に話し合いを行い、区公報や区議会便りの音声化、駅や公共施設における音声案内、またバス停などの点字ブロック敷設など、会員はもとより区内に住む視覚障害者の自立を支援し、社会参加活動に寄与されております。

 他方、私たち視覚障害者の唯一の職業ともいえる鍼灸業においても、鍼灸経絡研究紘鍼会の会長としてご活躍されると共に、本会職業部の指導者として後進の育成に当たっておられます。そのエネルギッシュな行動には感心するばかりです。

 少し述べただけでも区政功労賞を受けるにふさわしく、この度の受賞は、障害者は勿論ですが、支援ボランティアを中心とします江戸川区民にとっても大きな喜びでもあり、また誇りでもあります。

 一会員としてとても嬉しく、理事長の活動を支えて来られた奥様の弘子様にも心よりお祝い申し上げます。
 これからも御家族の皆様ともども健やかに生活されますようお祈り致しますとともに、その指導力を十分に生かされ、視覚障害者の福祉の増進や会の発展にご尽力くださいますようお願いし、祝辞とさせていただきます。




視覚障害者用防災手帳




── 江戸川区より本会会員に配布 ──

                              安全対策部

 視覚障害者のための「防災手帳」(150冊)が出来上がり、去る8月3日(火)の平成22年度土木部懇談会の席上で、土屋土木部長から松本会長に手渡されました。この防災手帳は平成7年の阪神大震災をきっかけに、災害時の身元確認は勿論ですが、文字情報を確かめることの難しい視覚障害者の身を守るためのあらゆる情報を網羅記録した画期的なものとなりました。

 かねてより本会では、防災手帳を行政サイドで作成して欲しいという区内視覚障害者の長年の切実な要望を受け、江戸川区との定例懇談会を通じて働きかけをしてきたものです。その結果、障害者福祉課、土木部、災害対策課と本会との話し合いを数年にわたり継続し実現したものです。このような防災手帳が行政から配布されたのは、おそらく都内では江戸川区が初めてのケースではないかと思います。

 この手帳に事務局の職員が一冊ずつ個別に氏名を記入し、点字表記をし、11月23日(火・祝日)の第26回文化祭に出席した会員に配布、また欠席されたその他の会員と、江戸川ガイドヘルプセンター登録の利用者に年内をメドに配布を完了する予定です。

 江戸川区の地域に生活する視覚障害者が、万一の発災時にこの防災手帳を所持することによって、災害時弱者と言われる私たち視覚障害者にとって、命を守る貴重な情報源となることは間違いありません。昨年配布しました防災ジャケットのポケットに入れ玄関に防災袋を備え入れておくか、障害者手帳と共に後日行政から配布予定のビニールカバーにセットして所持頂くようお勧めします。

 なお、ご自分の所持する情報を手帳に記入できない方の代筆については、事務所にご相談下さい(守秘義務を厳守)。
 結びに防災手帳の作成にあたって、ご尽力頂いた江戸川区福祉部障害者福祉課及び土木部災害対策課の関係者の皆様に改めて感謝する次第です。

 (防災手帳の内容はアイネット21号に詳述)




平成22年度 江戸川区各部懇談会(意見交換会)報告




 今年の夏は7月中旬に梅雨明けをしたあと、ほとんど雨という雨は東京地方には縁がなく、熱帯夜も続き記録づくめでした。この間、執行部役員は7月26日の福祉部を皮切りに、各部・課との意見交換会に臨みました。障害者自立支援法から、平成25年には障害者総合福祉法(仮称)が施行される見通しですが、この法律が本当に視覚障害者の自立や社会参加活動をしっかりと支えてくれる中味になるよう望むものです。懇談内容は、江戸川区の福祉施策や環境の整備、安全対策等、多岐にわたりました。これらの内容を区民の皆様方にもご理解を頂けるよう、本誌編集委員及び会員がリポートしましたので、読者の皆様にご紹介しましょう。


T 福祉部懇談会  小林 智恵子


 日時・会場 … 7月26日(月) 13:30〜15:30 タワーホール・障害者協議室
 区出席者  … 渡辺福祉部長・吉澤障害者福祉課長・
         関口身体障害者相談係長・橋本推進係長

 本会出席者 … 松本・北澤・田名後・成田・工藤・藤田・池田・橋谷・松田・
         小林・事務局(千歳・吉川・鈴木) 計13名


 要望書に沿って行われた質疑応答を、Q&A方式により以下に記します。


@ 城東地区諸行事(本会幹事)開催について

Q(松本):本年度の城東地区諸行事に対し江戸川区の全面的支援をお願いするが、特に第7回交流カラオケ大会(10月14日・木)では運営面でもご協力頂きたい。
A(吉澤):可能な範囲でご協力させて頂く。

Q(松本):9月・10月に限定し、二つの城東ブロック行事に出席する会員に対し、ガイドヘルパー派遣の個別支給量で特別枠(5時間)の追加を認めて貰いたい。
A(吉澤):申請があれば状況をみて検討したい。


A 江戸川区障害認定審査会の委員に視覚障害者を加えることについて(略す)。

B ホームヘルプに係る利用者程度区分認定基準の明確な指針の提示について。

A(渡辺):障害認定区分は支給量の決定とイコールではない。一次判定は、全国共通の認定プログラムで、コンピュータで判定。二次判定は、個々の状況を見ながらの判定。区として一律に判定は幾つという基準を明確にするのは難しい。

C 地域生活支援事業における応能負担による自己負担率の軽減について。

A(渡辺):現在は課税世帯は自己負担だが、非課税世帯は自己負担が発生しないような予算の組み立てが行われている。いわゆる応能負担に戻していくという考え方。全体の法律の流れとしては、来年の夏に一定の方向性が示される予定。今は経過措置として、低所得世帯には負担を求めない応能負担に近い形を、前倒しでやっていく。

D 移動支援(ガイドヘルパー派遣事業)利用に関し、現行35時間の増量について。

A(渡辺・吉澤):個々の利用に差があるが、大体の方は35時間で大丈夫という判断であり、今の段階ではいいと思う。(支給量消化率は5割弱)ご相談頂いた方には、適宜対応している。
Q(成田・田名後・北澤・橋谷):江戸川区はサークル活動が活発だが、時間がなくて参加できない方も多い。今年は城東ブロック行事もあって、ボランティアさんに迷惑をかけるほどお世話になっており、もう少し増やしてほしい。

Q(松本):公的手続きや区主催の行事のためには増量が認められるが、クラブ活動など趣味的なものは却下という現状。社会参加活動につながることなので、弾力的な運用をしてほしい。

Q(田名後):中途失明で精神的に落ち込み、家の中に閉じこもっている方は多い。ようやく障害を受け入れ、外に出て活動をしようと思った時、「時間がない」のは本当に悲しい。苦しんだ分、趣味等で活動できる時間を増やして頂きたい。

A(渡辺・吉澤):検討していかなければならない課題だと思っている。公共費の形になれば基準が厳しくなる可能性もあるが、皆さんの思いをくみ取り、全体的な動きの中で努力していきたい。

E 日常生活用具給付における、江戸川区独自の品目認定、修理費補助、及び耐用年数の考慮について。

Q(松本・工藤・田名後):給付品目を増やして頂き、また4月から弱視と全盲の情報取得のための機器の複合受給が可能となり、大変有難い。プレクストークなど精密な機器は故障が多く、修理に2万円程掛かる。修理費の補助と、耐用年数査定の弾力化をお願いしたい。来年7月開始のデジタル放送対応の音声型テレビ、道案内等多方面の利用が可能な携帯電話も給付品目に加えて頂きたい。

A(関口):給付対象品目は、要望を取り入れ毎年見直し、市場価格の変化も考慮している。デジタル放送用テレビ・携帯電話は、広く一般的に使われており、障害者の日常生活用具の対象とはならない。耐用年数は、検討の余地があると思う。物品の給付という形の援助なので、修理費については難しい。

F 一人暮らしの視覚障害者の病気入院に対する支援策について。

Q(松本):日盲連大会でも特に関心が高い問題。憲法が保障する生存権に関わることだと思うが、視覚障害者が入院という非常に厳しい状況に立たされた時、江戸川区はどういうサポートが可能か?
A(渡辺):入院時にヘルパーを一切つけられないわけではない。介護保険制度に、病院に入った時の介護に関し、一定の要件に合致すればヘルパーを付けられるという基準があり、そういう枠をあてはめることも考えられる。現在国は障害者をメンバーに加え、新しい制度を検討中なので、状況を注視して行きたい。

G 代筆代読について。

Q(松本):視覚障害者にとって自由に読み書きできないことは、大きなバリアの一つ。読み書きはガイドヘルパーの業務としてある程度定着してきているが、区独自のサービス項目として認めてほしい。
A(吉澤):現在家事援助の中で、代読・代筆サービスを行っているので、新たにコミュニケーション支援事業の中に位置づけなくても事足りるのではないか。

H 滞在型グループホームの整備について。

Q(松本):平成21年11月12日、国土交通省と厚生労働省が一致協力して、公営住宅を活用し、障害者の住まいを確保しようという通知が出された。さらに、今までは空き家が対象だったが、福祉枠の優先確保を認め、障害者のグループホーム設置を積極的に進めていくというニュースもあった。船堀団地が建て替え時期にあり、それを活用できる可能性があるのであれば、こちらも努力したい。区の見解は?
A(渡辺):公営住宅利用に関する国の方針は承知しており、そういう形で障害者の方が生活の基盤を地域の中で獲得していく流れが広がっていくものと思う。

Q(松本):高齢者には特別養護老人ホームが区内に14箇所ぐらいあり、身体障害者にも多数施設があり、かなりの部分でフォローされている。視覚障害者は数は少ないが、生活するのに非常に厳しい試練。国の施策が変わる中、法人である当会は施設設置を進める要件の一つはクリアできている。
A(渡辺):これまでの経緯から、江戸川視障協の要望は理解できる。

Q(松本):6月1日に課長・係長と話をして、船堀団地の将来の計画について東京都に照会して頂くことになったが、その結果を教えて貰いたい。
A(橋本):7月21日、船堀団地に関する私案について、東京都の都営住宅建て替え担当部署に話を聞いて来た。事業主体に関して、@ 建物を立て替える時に施設を作り込む場合は、事業主体は地元(区役所等)か社会福祉法人。A 出来上がり入居が終わった後の空き室の利用の場合は、NPO法人も事業主体になれる、という回答があった。国の方針は「住宅部門と福祉部門が連携して取り組んで行きなさい」ということで、以下の流れになる。都の福祉部門の所に行き、施設設置可能物件はないかと相談→福祉部門が住宅部門と協議→該当する物件があるか調査→結果を福祉部門が当該NPO法人に伝える→ニーズと需要が合えば提供。都営住宅の立て替えは全ての入居者が新築された団地に戻り、その上で空き部屋が出た場合にのみ対応が可能になる。「都の福祉部門に相談するのも一つの方法ではないか」とのアドバイスだった。

Q(松本):橋本係長にはご苦労をおかけしました。この件もクリアしなければならないことが多く、今日はこのご回答を頂き収めたいと思う。江戸川視障協の今後の活動方針・方向性について、顧問の先生にも相談して進めて行くつもり。

I 区内特別養護老人ホーム等への視覚障害者の入所特別枠について。

A(渡辺):24年度から始まる3ヵ年計画で、少なくとも一つは大型の施設を整備したいところだが、なかなか具体化しない状況で800名強の待機者がいる。その中で特別枠を設けるのは非常に難しい。一人暮らしであるとか、高齢になっているとか、そういう状況を一般の人達と同列に判定していく。

J 視覚障害者の就労支援について。

Q(松本):按摩マッサージ鍼灸資格を持たない視覚障害者の就労支援として、区内に視覚障害者を雇用する作業所の新設を検討して頂きたい。
A(渡辺):ハローワークと連携しての就労支援では、かなり実績をあげているので、求人の情報提供はできると思う。


※ 視覚障害者にとって、新しい法律に向けての課題はたくさんあります。私たちが、安心して生活できる社会を実現するためにも、役所の方々との意見交換は、とても有意義であると感じました。



U 土木部&災害対策課  高田 孝治


 日時・会場 … 8月3日(火) 13:30〜15:30  グリーンパレス402号

 区出席者  … 土屋土木部長・近藤参事・秋元災害対策課長・
         永井駐車駐輪課長・中川計画課計画係長、30余名

 本会出席者 … 松本・小野塚・北澤・高田・成田・田名後・藤田・高橋・
         事務局(千歳) 計9名


 去る8月3日に江戸川視障協と江戸川区土木部及び災害対策課との意見交換会がグリーンパレス402号室で行われました。冒頭松本会長と土屋部長の挨拶の後、長年の懸案でありました視覚障害者が携帯する「防災手帳」が出来上がり、土屋部長から松本会長に手渡されました。今年末までに会員に配布を行う予定です。

 次に本会から江戸川区土木部への要望書に基づき質疑応答が行われましたので、主な回答をご報告します。


【災害対策時の要望】

@ 視覚障害者の震災時の一次避難所として、最寄りの小・中学校体育館を指定し避難場所における視覚障害者の名簿登録等を検討。

A(秋元):現在避難場所の指定はなく自己決定である。名簿登録は検討されていないが、視覚障害者がどの避難場所に行くのかについては把握したい。また、町会や自治会との調整も行いたい。

A 発災時の視覚障害者に係わる第1次避難場所から第2次避難場所への移送方法を含め担当及び施設名を明らかに。

A(秋元):大変難しい課題だが今後具体的に検討していく。  他に災害時の要望がいくつか出され、それぞれに前向きな回答を得ました。

その中で、土屋土木部長から一人一人個別の避難行動計画作成に取り組んでいくこと、携帯電話を活用しての緊急情報の提供など、今後の区の方針が説明されました。
 また松本会長から、災害対策課・障害者福祉課と江戸川視障協との定期協議継続の要望が示され、要援護者リストの作成や発災時の対応について検討していくことで意見の一致を見ました。

【篠崎コミュニティ会館への点線ブロック整備】

 要望書1の城東ブロック盲人卓球(STT)大会を篠崎コミュニティ会館で9月に開くにあたり、都営新宿線篠崎駅西口から区立篠崎コミュニティ会館までの歩車道間にペイント方式の簡易型点線ブロックが敷設されたことについて、江戸川区土木部の早い対応に感謝致します。

【外出時の安全対策に関する要望】

@ 区内主要横断歩道にエスコートゾーン敷設を。(都営新宿線船堀駅からタワーホール船堀前横断歩道・区役所前横断歩道等)

A(中川):昨年来の要望を受け、タワーホール前に関してはすでに葛西警察に働きかけている。敷設箇所を含めて、江戸川区としても警察署に働きかけをしていきたい。
 この件に関しては、10月12日(火)に土木部計画課の宮下主任主事と共に区内3警察にエスコートゾーン敷設の要望書を提出して来ましたので、詳細については別項で報告しました。

A 違法駐車・駐輪対策と点字ブロック上諸物の撤去のお願い。

A(永井):違法駐輪は駐輪場の増設で大幅に減少している。今後も違法駐車や、駅前の商店街の店先に置かれた諸物については、監視を強化し、撤去するよう指示する。

B 歩道の凹凸、損壊箇所の補修のお願い。

A(柿澤):歩道等の補修については区に申し出てくれれば早期に補修する方針。保全課への連絡は保全サービス係(5662-1945)で対応。

 その他に視覚障害者がより安全に歩行出来るように、点字ブロック・音声誘導版・音声誘導装置・音声信号機等について要望が出されました。これに対して、土木部側も要望書の1項目ずつ非常に理解のある回答をして頂きました。

 最後に、松本会長から「今後とも土木部とこのような話し合いを中心に協議していきたい」との挨拶があり、土屋部長からは「より良い町を作るために、手を携えてやっていきましょう」との心強いコメントを頂き、和気藹々の雰囲気で意見交換会は終了しました。


V 広報課懇談会  池田 定道


 日時・会場 … 8月27日(金) 13:30〜14:20 区役所502号室

 区出席者  … 小田広報課長・矢作編集係長他

 本会出席者 … 松本・小野塚・北澤・田名後・成田・小林・橋谷・松田・
         花見・池田・事務局(吉川) 計11名


 8月27日も暑い日でした。当日、広報課との懇談会が区役所502会議室で開催されました。
 広報えどがわのデイジーへの移行は順調に進んでいる、との結論で一致を見ました。また、CD-RWのディスクの劣化が生じ始めていることに関しては、消耗品であるため、補充をしてもらえるとの事でした。また、デイジーの編集には、ボランティアの方が、自分のパソコンで作業して頂いていることに何かの配慮をして頂けるようにお願いしました。

 情報のメール配信に関しては、個人情報保護に関する法律に抵触するなどとして、慎重でガードが固かったのですが、毎回の辛抱強い説明と要望により、また、時代の流れ、目的の理解などがお互いに出来て、視覚障害者に関係する最新情報だけでもということに理解の姿勢を見せ始めたと感じました。実際には、障害者福祉課で音頭をとってもらって、進めていかなくてはいけないだろうが、何とか進んでいくだろうという曖昧な回答に、今年度中に、具体的に話し合いを進め、来年には実現出来るようにしたいと、もう一押ししておきました。

 みんな友達には、会員から、映画情報・史跡めぐりなどのページを設けて欲しい、との要望が出ました。
 点字地図発行に関しては、それは、必ずしも目的地に行くための道具というよりも、区全体のイメージを、捉えるためのものであるということが、初めて理解して貰えたようでした。会員の中からも若かりし頃得た土地勘と、現在の違いが知りたい、という声が上がりました。


※ 毎年開催されるこの懇談会で、少しずつバリアの内容が理解されつつあるようです。何事もあきらめずに辛抱強く話し合っていくことが、とても大切と感じました。



W文化課・都市開発部施設課・スポーツ振興課・図書館・教育委員会懇談会

                              田名後 浩子


 日時・会場 … 8月27日(金) 14:20〜15:30 区役所502号室

 区出席者  … 文化共育部文化課(天沼課長・浅岡主査)・
  スポーツ振興課(根本スポーツ係長)/中央図書館(佐藤館長・秋山障害者担当)
  教育委員会(高田指導主事)/生活振興部地域振興課(松尾課長・木根渕係長)
  都市開発部施設課(上山課長・虎渡係長)

 本会出席者 … 広報課に同じ


【図書館関連事項】

Q:図書(CD・拡大文字図書等)の目録などの情報提供について。
A:目録はカセットテープ・デイジー・点字を想定している。メールによる配信に関しては容量等もあるので可能性について検討していきたい。

Q:録音図書の依頼はメールではできないか?
A:新しいパソコンをないーぶネットに接続できるよう手配しており、アドレスが取得できたら可能と思われるので検討させて頂きたい。

Q:本会が行うITパソコン講習会に対し、機器整備・音声パソコンボランティアの養成など全面的支援を。
A:音声ソフト・PCトーカーの寄贈を受けVistaの機械にインストールしてあるので、試して頂きたい。インターネットにはまだ接続されていない。パソコン講習の場所と機器の提供はできるが、講習部分の援助を図書館でやっていくのは難しい。

Q:デイジー江戸川の方達にもご協力頂き、パソコン指導をできるボランティアを育て、講習会を継続したい。
A:障害者の方にとってはパソコン・インターネットは、日常の生活の中で重要な情報交換の手段ということは理解している。関係部門である障害者福祉課等と相談の上、対応について考えて行きたい。

Q:対面朗読室の利用、及び新刊書紹介等のPRについて。
A:対面朗読室の21年度利用状況は、区内4図書館(中央・小岩・西葛西・東葛西)で計56回。朗読者の常時配置は難しく、ボランティアの方に継続して貰い、職員も対応する。PRは、「アイネット」の「福耳通信」や「みんなともだち」で継続していきたい。21年度にはFM江戸川の取材を受け、図書館のPRがオンエアされている。

Q:視覚障害者用図書の蔵書の拡充と、新刊書の購入についてリクエスト幅の拡大を。
A:全国規模の相互貸借システムを利用し、今後も継続して行っていきたい。

Q:新たに作成する図書目録にSPコード(テルミー対応)の添付を。
A:SPコードは紙質や容量等もあるので、カセットテープやデイジーで対応していきたい。

Q:点訳ボランティアが活動拠点とする区内全ての図書館に点字プリンタ整備を。
A:ボランティアセンター・中央図書館・西葛西図書館・東葛西図書館の4箇所にあり、今は足りているが、障害者福祉課、ボランティアセンターと協議して行きたい。

Q:指定管理制度にはいつからなるのか?
A:中央図書館は25年度からと考えている。今年の4月から葛西地区の図書館が指定管理になっているが、開館時間が1時間半伸び、21時半までとなっている。休館日も第4月曜日のみとなった。江戸川区で指定管理をお願いしているところは、(株)図書館流通センター。

Q:指定管理制度になっても引き続きIT講習が出来るように図って貰いたい。


【文化共育部・教育委員会・生活振興部及び都市開発部関連事項】


Q:視覚障害者の施設利用に対する支援について。
A:現在、文化・スポーツ・講習などに利用できる施設が区内に30館あり、来年度は東葛西にもう1館できる。地域団体に優先枠をつけているが、諸団体の中では公正を保たなくてはいけないので、インターネットの抽選予約となっている。行政目的とマッチングするものは、各所管を通じてネット予約を待たずに事前承認をして、抑える場合もある。障害者福祉課と協議してこの制度を利用してほしい。

Q:事前承認の場合は有料になるが、全て有料ではなく、江戸川区として何らかの配慮を。
A:事前承認は抽選予約の枠から出て、特別枠を作って減免制度外だが、個別に障害者福祉課と相談していきたい。

Q:スティックボールの実施について、グリーンパレスGスタジオ・4Fホールの予約が容易に出来るような施策を。
A:もともとは青少年の健全育成を目的に増設された施設。青少年の育成も障害者のみなさんも大切なので、バランスよくどういうことができるか現場を合わせて考えていきたい。

Q:江戸川区でSTTの卓球台を2台買って頂いたが、ネットが損傷している。江戸川区で対応して頂けるのか?
A:区の備品になっている場合は区で対応する。確認して連絡する。

Q:視覚障害者が使用できる社交ダンス練習場の確保について。
A:社交ダンスは盛んで、会場を多数用意している。その中でやって貰いたい。

Q:区内小・中学校の総合学習での障害者やボランティア活動等の体験学習を今後とも発展させ、相互理解が図られるよう進めて貰いたい。
A:体験を通して、人権教育として今後も充実していくよう区が働きかける。

Q:区内主要施設のエレベーター及びトイレ内の音声装置設置を。
A:区管理のエレベーター73台の内、58台が整備済み。従業員、荷物専用の2台を除く残り13台を、改修に合わせ順次音声化していきたい。21年度は、篠崎コミュニティ会館など4施設に音声案内装置を設置。今年度は、鹿骨フラワーホールなど3施設に設置予定。

 トイレ内の音声装置は、昨年タワーホール船堀に試験的に設置したが、開発が発展途上にあり明確な共通化が出来ていない状況。今後研究しながら検討していきたい。点字ブロックは突起部に黄色い着色をするという対応もしていく。


※ PC関連はどんどん進化していき、私達が対応するのも大変になってきました。PCに明るい方にお手伝い頂けるよう募集したいと思いました。また、毎年、懇談会を重ねて行くことによって視覚障害者がより住みやすい江戸川区になってきています。毎年このような懇談の場を設けてくださり、ありがとうございます。




◇◆区内3警察署にエスコートゾーンの敷設を要望◆◇




                              安全対策部

 本会は、区内の視覚障害者の外出時における安全対策に関し、去る8月3日(火)に、多田正見江戸川区長宛の平成22年度要望書に基づき、土木部担当者(土屋信行土木部長他)と意見交換会を行い、エスコートゾーンについても話し合いました。

エスコートゾーンとは、設置指針によると「道路を横断する視覚障害者の安全性及び利便性を向上させるために横断歩道上に設置され、視覚障害者が横断時に横断方向の手がかりとする突起体の列」とされています。具体的には点粒状の細かいブロックを敷き詰めた幅60cmの安全帯が、横断歩道の中央付近に直線状に連続して敷設されることになります。

 今回の意見交換を受けて、区内3警察署管内の主に駅前交差点(音声信号機設置箇所)のエスコートゾーン敷設整備について、土木部と本会で調整した結果、去る10月12日(火)に、区内の小松川・小岩・葛西警察署への要望書を作成し、エスコートゾーンを敷設するよう働きかけを行いました。

これは平成19年5月25日付で警察庁より示されました「エスコートゾーンの設置に関する指針」に準ずるもので、土木部の職員と共に本会高田安全対策部長が、各警察署の交通規制課に出向き、早期に整備して頂くよう要請しました。今年度のエスコートゾーン敷設要望箇所は下記の通りです。


 ※ エスコートゾーン設置要望箇所

 【小松川警察署管内】

    1.江戸川区役所前(中央一丁目4番1号)
    2.瑞江駅前(西瑞江二丁目13番14号)

 【小岩警察署管内】

    1.柴又新道口(北小岩二丁目1番17号)

 【葛西警察所管内】

    1.タワーホール船堀前(船堀一丁目6番)
    2.西葛西駅北(西葛西五丁目1番1号)
    3.葛西駅前東(中葛西三丁目37番16号)




平成22年度 視覚障害者向け講演会(講座講習会)報告  井草 恵子




 雨天の中、タワーホール船堀3F産業振興センター会議室にて、去る9月28日(火)、視覚障害者対象の講座講習会が行なわれた。

 当日のテーマは「日常生活用具給付について」で、会場には会員・付き添い者を含め40名を超える受講者が集まった。

 橋本推進係長の司会で講演会は始まり、第1部では本会松本理事長から次のような挨拶があった。
 江戸川区に於ける日常生活用具の支給にあたっては、関口身体障害者相談係長をはじめ職員のご理解を得て、適用品目、耐用年数の弾力的運用がなされていることについて謝意が述べられた。また、この機会に視覚障害者の生活をサポートする日常生活用具の知識を深めて貰いたいとの挨拶であった。

 これに続いて、第2部から本題に入った。障害者福祉課の関口身体障害者相談係長が、「日常生活用具の現状と課題」について判りやすくお話をされた。
 具体的内容について挙げてみる。

  * パソコンソフト、ものしりトーク、点字ディスプレイなどは、他区に先駆け給付開始。
  * 時勢に添った上限額の改定、種目の新設と改廃に取り組んでいる。
  * パソコンとの連動、携帯化、多機能化という最近の流れに留意し、品目の選定を行っている。

 次に意見交換の内容を挙げてみる。
  Q 火災報知機は、給付対象になっていないのか?
  A 障害者世帯のみ給付対象。

  Q プレクストークの耐用年数の改善は?
  A 通常は6年。ものしりトーク・タッチメモは10年。
   度々故障の場合は買い替えが必要 → 身体障害者相談係に相談。

 また弱視者から給付申請があれば、拡大読書機(弱視者用)と音声読み上げ装置(主に全盲者用)の両方の給付が可能になったことは、江戸川区の弾力的運用があったもので、改めて感謝したいと思う。

 第3部では、日盲連用具購買所の木村さんから、展示している全ての用具の説明を聞いた後、参加者全員が各用具を作動させ体験した。手を取って使い方を親切に説明して頂けたので、とても参考になった。

 音声読み上げ装置の「よむべえ」に特に人気が集中しており、会員の中には、早速申請を考えた人もいたようだ。
 音声体温計の新製品についてや、プレクストークポケットのバージョンアップに関しても質問があった。

 また木製の点字版が製造休止になっていることについて、継続してメーカーに製造して欲しいとの意見が出されていた。

  * 主な展示品    テルミー(SPコード使用)  よむべえ  拡大読書器  
   点字器  置時計  腕時計(触針、音声)
   音声体温計および音声体重計  点字ディスプレイ  電磁調理器


 私達、視覚障害者にとって欠かせない情報を、音声で知らせる日常生活用具・・・。私自身、世の中の「落ちこぼれ」になりたくないと思った。

                 お問い合わせ:関口・加藤 5662-0052




江戸川ガイドヘルプセンター便り




── 平成22年 第2号 ──

 平成16年4月に「江戸川ガイドヘルプセンター」が開設し、早いもので6年半を経過しようとしています。また昨年11月14日(土)に節目の開設5周年記念式典を、タワーホール船堀において盛大に開催し成功裡に終えたこと等、手前味噌ではありますが、正に運営面でも実績でもこの事業所が安定期に入ったことを実感しています。

 さて本年4月1日より、江戸川区では居宅介護事業の通院介助サービスについては、ホームヘルパー2級以上の資格がないと出来ないことになり、当センターでは、新たに18名の方々に資格を取得して頂き、利用者へのサービス向上に努めているところです。

 そして障害者総合福祉法が具体化し、地域生活支援事業である「移動支援」が居宅介護事業としての「同行援護」に移行した際にも、充分に対応できるサービス態勢を具備する事業所に生まれ変わろうとしています。

 現在、当事業所の登録ガイドヘルパー、利用契約者数はともに100名に達しようとしており、利用者の皆様のニーズに対応できるよう、ガイドヘルプの技術向上のための教育研修に力を注がなければなりません。そこで江戸川区という土壌に育まれ、ボランティア精神旺盛なガイドヘルパーさんにご協力を頂き、視覚障害者の安心安全の外出を支える態勢を早期に整えたいものです。

 ところで、本会の活動内容をお知らせする「情報連絡テープ」が、平成22年第7号(通巻254号)から、カセットテープとCDの併用方式に切り替わりますので、新たにCD方式を希望される方は事務所までご連絡下さい。

 当センターは、視覚障害者の社会参加活動を引き続き支援し、皆様に信頼される事業所として、千歳事務局長、サービス提供責任者の吉川・鈴木、増田の職員が、毎日電話の応対や、来所するお客様の相談業務に当たっています。業務に関わることや本会の活動等、不明な点はご遠慮なく事務所までお問い合わせ下さい。

    電話(FAX) 03-3877-0089   e-mail:edomo@hyper.ocn.ne.jp




クラブの窓  リズム運動  北澤 とみゑ




 リズム運動は、“健康が一番”をモットーに平成3年5月から始まり、今年で20年になりました。

 区役所障害者福祉課から、フォークダンス理事の猿田先生を紹介されたのがきっかけでした。私たちが音楽に合わせて踊れるように、先生はマイクで身体の一つ一つの動きを何度も繰り返し、優しくご指導下さいました。そのご苦労は大変だったと深く感謝しています。

 渡辺・手塚・石原先生も加わり、平成16年に猿田先生が亡くなられた後も、「何があってもお手伝いします」と力強い言葉をいただき、どんなに嬉しかったことでしょう。今は新たに高津先生が加わり、ご指導下さっています。

 年1回の文化祭やボランティアフェスティバルへの参加、昨年は都盲大会で披露する事ができ、励みにもなりました。

 参加者からは、

 ☆ 文化祭に黒一点でかっこいい衣装を着て踊りたい。
 ☆ あまり動く事がないので、身体の続く限り楽しく踊りたい。
 ☆ 覚えられなくて四苦八苦しながらも、身体を動かしたい。
 ☆ 今まで踊って来たことに感謝し、仲良く手をつなぎ    ハミングしながら踊っていけたらいいなぁ。
 ☆ リズムに入って10年、先生方やガイドさんにお世話になりながら、音楽にのって、いろんなステップを習いたいし、皆さんとお話も楽しみながら続けていきたい。 などの感想が聞かれました。

 頭から指令が手足に届くまでに、初めは少々の時間がかかりますが、間違ったとしても何度も繰り返しているうちに、だんだん踊れるようになりますので、心配はいりません。踊れた時の皆の笑顔は最高です。優しい仲間と一緒に、おしゃべりに花を咲かせたりしてみませんか? いつでも参加大歓迎です。

       連絡先 事務局(03-3877-0089)




福耳通信




 朝晩の外気がめっきり秋めいてきました。今年の夏は猛暑で秋の味覚への影響も懸念されていましたが、テレビでは、ようやく野菜の値も落ち着き始め、なんと松茸が30年ぶりの豊作だと伝えていました。皆さんいかがお過ごしですか?

 今回は、第20号に続いて、「録音図書」のできるまで、PART4「校正作業」をご紹介しましょう。

 「録音作業」が終了すると、音訳者とは別の人の目と耳で、原本と首っ引きで一字一句読み間違いがないか、聞きづらい部分はないかなどをチェックします。  ○ページ□段△行のどの語句がどう読み間違えていたか、どう読んでもらえばもっとよくなるかなどを校正表というリストに記入して音訳者に戻し、音訳者は校正表をもとに該当部分を上書きするように録音し直します。

 1〜2年前まではカセットテープに直接録音する方式が主流でした。録音し直すといってもテープを切ったり貼ったりできません。例えるならマス目に隙間なく書き込まれた原稿用紙で、文中の5文字を消して7文字を埋め込むようなものです。上書きする語句や文章とそのスペース(サイズ)が一致しないため、早口になったり不自然な間ができないよう、録音し直さなければならない部分の前後も含めて調整することもしばしばだったそうです。

 最近は録音もデジタル化され、操作方法を覚えれば、差し込み録音や削除もできるようになりました。上書きしたい語句と同じ語句が録音された中にあれば、切り貼りもできるまでに技術は進化していますが、全てがそれで済むわけではありません。当初の録音から校正録音までの長い期間、音訳者が声質を同様に保つよう日々の体調管理も大切だそうです。

 校正は1〜2回が一般的です。江戸川区では2回、最初の校正・その次の校正をそれぞれ別の方にお願いし、校正を済ませてから区へ納められ、私たち職員がもう一度校正をした後、ようやく図書館で仕上げ作業に入るのです。
 リクエスト等ございましたらお気軽に担当までご相談ください。


  住所  江戸川区中央3−1−3
  電話 3656−6298〔直通〕
中央図書館の担当は私たち4名(秋山 高津 川原田 豊嶌)です。




平成22年度 城東ブロック関連行事開催される




 城東地区盲協連絡協議会(城東ブロック)の幹事区として、区内の公共施設を利用して、各種行事が盛大に開かれました。
 まず、4月の支部長会で年度計画を決め、5月から女性部を中心に、東京都委託・家庭生活訓練事業「リズム運動」が、グリーンパレス4階ホールで8回にわたり実施されました。今回も高津先生を始め4人の先生方の指導により、去る9月20日(月・祝日)に橋本障害者福祉課推進係長を招き閉講式が行われました。城東地区6区(足立・荒川・江戸川・葛飾・江東・墨田)の参加者の皆さんが和気藹々と集い、健康づくりを兼ねて汗を流した8回の訓練事業でした。

 さらに7月27日(火)に、第1回スティックボール大会を、区内ボランティアのご協力を得て、見事にやり遂げました。そして、9月には第7回盲人卓球大会を区立篠崎コミュニティ会館で行い、坂本選手が個人優勝を果たし、団体第2位という成績でした。また、10月14日(木)には、タワーホール船堀・瑞雲の間で、八汐由子さんを招き第7回交流カラオケ大会が開かれ、個人では高田さんが優勝し、団体でも第1位となり、念願のトロフィーを獲得しました。

 この他、高齢者生きがい教室は、2月10日(木)にタワーホール船堀で開く予定です。
 なお、蓬平温泉親睦旅行会は、日帰りバスハイクとともに、別覧で旅の模様をリポートしております。
 それではこれら行事の内容を報告することにしましょう。



城東ブロック 第1回スティックボール大会開催される  小野塚 耕吉


 今年度城東ブロック幹事区である江戸川視障協主催により、名誉ある第1回スティックボール大会を開催しました。暑さ盛りの7月27日(火)、グリーンパレス4階ホールに城東ブロック(足立、荒川、江戸川、葛飾、江東、墨田区)の9チーム45名の選手を迎え熱戦が繰り返されました。

応援団、付き添い、ボランティアさんを含め120名もの参加を頂まして会場溢れんばかりでした。松本ブロック長、各支部長の舌戦で開幕となりました。また来賓として福祉部障害者福祉課の橋本係長さんからご祝辞を頂きました。組み合わせ抽選、ルール説明の後、江戸川のエース関守選手による元気な選手宣誓を頂き、試合開始となりました。

 江戸川はAB2チーム出場しました。試合に備えて毎月2回特訓を重ねて満を持しての出場です。

 江戸川Aチームの初戦は江東区Aチームで最近の都大会では実績がない。
 江戸川の先鋒は監督菊江さん、先陣で緊張したか、一、二打とも外し残念。
 二の矢は満子さん、草刈り打法で挑むもボールの芯を外し実りなく無念。
 三の矢幸司さんも折れ、女神は何処にいらっしゃる。
 されば副将勇さん、スティック確と握りしめ狙い定めて打ち下ろす、女神はいまだ行方知れず。
 零四つとは恥を四零(しれい)とばかりに大将幸男さま、スックと立ってスティック一閃、3点とって一矢を報いるも時既に遅く、3対8で虚空を掴む。

 敵は我らに任せよと江戸川Bチームのお出ましです。
相手は2年前の都大会優勝者である荒川区、相手にとって不足無しである。
 Bチームの先鋒は監督とみゑさん、強引にボールをねじ伏せるが言うこと聞かず、監督不行き届き、穴があったら入りたいところですが、生憎江戸川の穴は満員でした。
 次鋒は高田孝治さんご用事でピンチヒッター俊吾さん、スティック界ではニューフェイス、期待しました一発を、そうは問屋がで1点でしたが微かに光が見えてきた。
 夜明けが近いがもう一夢を貴美代さんに託しましょう。残念、夢儚くサウンドテーブルテニスのようにはいかんのですね。
 さあーそれではとみ子さんにお願いしましょう。神様、仏様、とみ子様、貴女の抜群の安定感でこの暗雲を吹き飛ばしてもらいましょう。入りました1点、ありがとう。
 主催区の意地を見せて下さい道子さん、優しい優しい陰の部長さん頑張って!やってくれました一気に6点、合計8点、でもお別れの時が来てしまいました。荒川さんは11得点でした。

 城東ブロック第1回スティックボール大会結果。

  優勝 足立区   準優勝 荒川区   第3位 江東区Aチーム
  個人賞(1ゲーム最多得点者) 足立区坂巻英夫さん11得点 となりました。

 この度の大会はアイフレンズ江戸川の全面的なご協力を頂き、わたくし小野塚が審判長を務めさせていただきました。ご支援ご協力有難うございました。またご参加頂きました皆様方に心から感謝申し上げます。有難うございました。



 STT大会報告  体育部長 冨澤 豊


● 第10回江戸川区サウンドテーブルテニス大会

 標記大会が、平成22年7月15日木曜日に、篠崎コミュニティ会館2階スポーツルームにて開催されました。今回の参加者は8名で、2グループに分かれて予選リーグを行い、上位2名が決勝トーナメントに進出しました。決勝トーナメントは今回初めて5セットマッチで行い、とても熱戦でした。

以下は参加者と成績です。

 Aグループ : 坂本芳雄 才川美千代 花見とみ子 北澤とみゑ
 Bグループ : 松本俊吾 松田恵子  橋谷道子  冨澤 豊

  準決勝   坂本芳雄  3 − 0 橋谷道子
        北澤とみゑ 0 − 3 冨澤 豊

  決勝    坂本芳雄  3 − 2 冨澤 豊


● 第7回城東ブロック交流サウンドテーブルテニス大会


 標記大会が、平成22年9月9日木曜日の午後12時30分から、江戸川区の篠崎コミュニティ会館2階スポーツルームで開催されました。江戸川区からは、橋谷道子、北澤とみゑ、坂本芳雄、冨澤 豊の4選手が参加し、他の葛飾、江東、墨田、荒川、足立の各区の参加者20選手とで熱戦が展開されました。

 今大会では、3名ずつ8グループに分けて1ゲーム2セットのリーグ戦を行い、各グループ1位が決勝トーナメントへ進出しました。

 江戸川の各選手は予選リーグでは北澤選手が健闘し、初出場の橋谷選手はみごと予選を突破し決勝トーナメントへ進出。冨澤選手は予選を通過しましたが準々決勝で接戦の末、江東区の甲斐選手に敗れました。

 坂本選手は予選リーグを順当に通過し、準決勝で足立区の吉岡選手を破り、決勝戦では足立区の戸部選手を2対0で破って優勝、初めて金メダルを獲得しました。

 団体部門では足立区チームが第1位となり、江戸川区チームは第2位に終わりました。

 更に本年は5名の方がSTTの審判として大会に参加され、江戸川大会を運営することができました。また、城東大会にも審判団として活躍されました。

 2大会でSTT審判をされた方々は次の通りです。
 金子曜子さん、星谷弘子さん、肥田野千鶴子さん、小倉たきさん、大森恵子さんの5名です。誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。その他、多数のボランティア、応援ありがとうございました。



城東カラオケ大会で江戸川区完全優勝!!!  池田 定道


 10月14日の木曜日に、城東ブロック第7回交流カラオケ大会が、タワーホール船堀で開催されました。

 城東ブロック6区からの各区精鋭5名の合計30名で熱唱を演じました。
 江戸川区からも、8月にコミュニティプラザ一之江で開催された、懇談カラオケ大会で選抜された5人が出場しました。

 各区から選抜された精鋭を相手に、江戸川区の代表5人は健闘し、見事団体優勝を勝ち取ることが出来ました。
 また、個人戦でも、高田孝治さんが「思い出の渚」で優勝を勝ち取り、三橋竹志さんが「津軽慕情」で準優勝、そして田中誠子さんも「紫雨情」で特別賞を獲得する快挙を成し遂げました。永井宏さん、高橋満子さんは、惜しくも入賞を逃してしまいました。

 ゲストの演歌歌手、八汐由子さんも色々な語りとともに、5曲も歌って頂けました。
 総合司会の小野塚さんをはじめ、田名後さん、成田さんの名采配ぶりと素敵な会場、演出に賞賛の言葉を贈ってくださる他区の方もいました。

 また、来賓挨拶のとき、江戸川区の吉澤障害者福祉課長から、「この度松本会長が、江戸川区から区政功労賞を受賞されることになり、おめでとうございます」とのサプライズコメント発言も重なって、嬉しい、ビックリの一日でした。




やりました! 準優勝  東京都盲高齢者スティックボール大会  小野塚 耕吉




 去る10月30日(土)、王子障害者スポーツセンターにおいて開催されました第20回記念東京都盲高齢者スティックボール大会で、見事江戸川チームが準優勝に輝きました。

 今回は都内全域から21チームのこれまで最多の参加がありました。江戸川区からはAB2チームがエントリーし、Bチームが念願の入賞を果たしました。

 江戸川区Bチーム出場選手、監督吉田幸夫、高田孝治、成田貴美代、花見とみ子、北澤とみゑさん、以上5名の方々におめでとうの拍手を!!!

 戦績を振り返ってみましょう。5回戦いました。
 第1回戦は22対27点で町田チームに惜敗しましたが、敗者の中で最高得点を取ったチームが敗者復活として次の戦いに進むことが出来るルールにより、2回戦に進みました。2回戦は13対12点で葛飾Aチームに勝利。
 3回戦は再び町田チームとの対戦となりましたが、リベンジならず16対23点で負けましたが、なんと強運にも再び敗者復活となる。
 準々決勝の4回戦は花見さんの一挙11点を取る大ホームランがあり、24対16点で板橋Aチームに楽勝、優勝したら花見さんの胴上げを約束する。

 ついに決勝戦へ登りつめる。相手は板橋Bチーム、全て1本勝ちしてきた強豪です。江戸川チーム先行でコツコツ点を重ね17点を取り板橋の結果待ちとなる。板橋は前半点が伸びずこれはと思わせたが、後半いっきに加点し21点となる。
 結果は17対21点で板橋Bチームの優勝、2位は江戸川Bチーム、3位町田チームとなりました。

 江戸川Bチームはキリストを超える2度の復活という苦難の道を辿り、頂上一歩手前で息切れしましたが、3度目の復活を息をひそめて待つことに致しましょう。この度は誠におめでとうございました。胴上げに挑戦できず残念でしたネ。

 ところで江戸川Aチームの存在も、ひがむといけませんのでご紹介いたします。

 メンバーは道子ちゃん、満子ちゃん、勇くん、幸男くん、そして監督のコーちゃんでした。1回戦は実力どおり18対8点でお坊ちゃんチーム(世田谷のイメージから)の世田谷に楽勝する。2回戦は下町のド根性チーム墨田に16対25点で完敗しました。これは全て監督が悪いのです。全く練習に出てこない監督をクビにしろ!

 選手の皆様お疲れ様でした。ガイドヘルパーさんの大きな声援、とても力になりました。ありがとうございました。




蓬平温泉城東親睦旅行&日帰りバスハイク




 本欄では、8月29日(日)から30日(月)に行われました城東ブロック蓬平温泉親睦旅行会と、9月16日(木)に実施しました日帰りバスハイクを、柏谷さんと成田さんにそれぞれリポートしていただきましたので、旅の風情をお楽しみ下さい。


城東ブロック 新潟県蓬平温泉旅行  柏谷 幸司


 今年はまたかつてない連続の猛暑と熱帯夜だ。
 明日はいよいよ旅行。朝が早いぞ。もう寝るか。横になったが早いといっても11時を回っていた。どうにも暑くて寝付かれない。クーラーをつけて扇風機を回して、ラジオを付けたり切ったり、何と忙しい事か。そんなこんなで朝が来た。

「これから迎えに行きます」と言う電話が鳴った。支度はしてあったので、慌てる事はなかった。朝早いので朝食は欲しくなかった。お腹に何も入れないで出発だ。

 バスに乗ってみたら、何と、ぐるり回りの席がみんな昔の娘さん達だった。
その内、飲み物が出る、お菓子は出る、差し入れはあるで、朝食を食べて来なかったのが正解だ。妙に納得してしまった。こうしてバスは高速に入って、松本ブロック長の朝の挨拶に始まり、自己紹介、そしてハーモニカ伴奏による童謡・唱歌の合唱だ。更に待ってましたとカラオケでの歌自慢のご披露となった。その何と皆さんの上手な事。こうしてバスは銀山平、奥只見シルバーラインを通り奥只見湖へ向かう。

 バスの中でガイドさんが何かの説明した中に銀山平という名称が出てきました。これを聞いた時にあの有名な「銀山平の雪女」を思いだしました。ほう、ここがその発祥地、故郷なんだ。

 この話はある若者の父親が病に臥していて、「ああ父親は岩魚が好きだ。岩魚を食べさせてあげたら精がつくだろう」そう言ってこの銀山平の川に岩魚を獲りに行くんです。
 そこで雪女に出会うというところから話が始まるんです。吹雪の中、若い娘さんが足を引きずって歩いて来るのです。これをその若者が「少し休んで行きなさい」こう言って自分の家へ泊めてあげるのです。その内夫婦になって3人の子供が生まれるのです。ある日の事、若者が嫁さんの横顔を見て「いやぁ、どこかで見た顔だ」とつぶやくのです。これを嫁さんに問いただされて、「確かあの銀山平で」と言ってしまうのです。これは初めて雪女に会った時「今日の事は誰にも言ってはいけません」と口止めされておったんです。これをとうとう口にしてしまったんです。それを聞いた時、嫁さんの顔は即あの時の雪女の顔に戻ってしまったのです。「この事はあれほど言ってはいけませんと言ったのに、とうとう言ってしまったわね。もう知れたからには私はここにいられません。どうか子供達をよろしくお願いします」こう言って吹雪の中へ消え去って行くのです。

まあ簡単に言いましたけどこんな民話です。

 こうしてバスは目的地の蓬平温泉に到着しました。たっぷり温泉につかり、さあ、いよいよ夜の宴会だ。宴会はやはりカラオケに限る。

見事な進行で盛りに盛り上がった。私も尺八を吹かせていただきました。松本ブロック長にも一節うなってもらおうと思ったのですが、ここは他区の方に譲りました。

 宴会が終わったあと、二次会でたっぷり歌ってもらおうとブロック長の部屋へ行きました。すると話の方が長くて、どうも笛を吹いて歌ってもらえるような雰囲気ではなかったのです。その内一人、二人と部屋を出て行きました。そんな事で私も失敬をして他の部屋へ行きました。すると何と浴衣を着たお嬢さん達ばかり。「いらっしゃいませ」と言われたか言われないか、定かではないが、言われない前に上がってしまいました。ここではこの二次会の夜でなければ話せないような話題で沸きに沸いた。ブロック長と他区の人達はクラブに行ってカラオケを歌ったようです。それぞれ色々な過ごし方で楽しまれたようです。結構だったじゃないでしょうか。

 私は旅行に行きますと、朝、散歩をして尺八を吹くのが楽しみの一つなんです。ある時は黒四ダムで、また吊り橋の上、神社の境内と吹きました。今回の旅行では金山トンネルの中で吹きました。

 このトンネルの中というのは、話をしてもその反響たるやお風呂場の何十倍ものエコーだ。
 トンネルの中で、我々よりも先に行かれた人達が何か叫んだようなそんな声がしたのです。「ああ、あれは池田さんの声だ」と言ったら通りすがりの土地の人が「いや、あれは猿です」と言うんです。池田さんがとうとう猿にされてしまった。

 この金山トンネルを出た先の山の上に高龍神社があって階段が結構長かった。エレベーターがあったが、朝からは動いてないだろうと思って上って参詣するのをやめた。後で聞いたらエレベーターは動いていたと言う。引き返してトンネルの真ん中辺に来た頃「じゃあ、吹いてみるか」と言って吹いたのが柔・りんご追分・親父の海・馬子唄の四つです。そしたら何とその上手に聞こえる事、いや、「俺はこんなに上手なわけがない」とそれほど上手く聞こえたのです。これだから旅行が楽しいんです。笛も吹くがほらも吹く。すべてが自己満足なんです。

 さらに思い出されたのは平成16年の大災害です。この災害で旧山古志村も大変な被害にあいました。この時の崖崩れで車ごと親子が生き埋めになりました。お母さんが死亡して、3歳でしたか5歳でしたか、幼い男の子が岩と岩との間に挟まれた車に閉じ込められ奇跡的に助かりました。この時の決死の救助活動は大きく報道されて、多くの人達が祈るような気持ちで見守ったものです。あれから6年、あの子はもうすでに小学校高学年になっているでしょうか。
この地に立ってこの事が真っ先に思い出されました。あの惨憺たる見るも無惨な状態となってしまったこの旧山古志村も今はすっかり復旧されておりました。

 さあ、いよいよお帰りだ。途中越後ゆきくら館と食べ放題のりんご園に寄りました。越後ゆきくら館ではお酒を買おうか買うまいか、買い出すとお金があるだけ買ってしまうので、一本も買わずにバスへ戻りました。さて次はりんご園だ。お土産にりんごでも買って行くか。一つもぎ取ってかじってみたところ、どうもしぶいんです。そんな事でりんごも買うのをやめました。結局お土産は何も買わずじまいでした。

 振返ってみますと何と他区の方々は元気がありました。賑やかだったと言いましょうか。賑やか過ぎたと言いましょうか。まあこう言っている自分も賑やか過ぎたのかもしれません。バスガイドさんのアナウンスも時々聞き取りにくいところもありました。でもみなさん、それほど楽しかったのでしょう。

 まあともあれ何の事故もなく問題もなく無事に帰って来る事ができました。
 この城東ブロックの旅行に初めて参加して、楽しい二日間を過ごさせていただきました。
誠にありがとうございました。



江戸川視障協 さつま芋掘りと潮来へのバスハイク  成田 貴美代


 9月16日(木)、ガイドヘルプセンター・事務局主催のバスハイクが、お馴染みの運転手の岡田さん、バスガイドの中蔦さん、添乗員の松浦さんのお世話を受けながら、参加者47名を乗せ元気に行って参りました。

 前日からの雨が当日になっても降り止まず、大雨の旅行というのは初めてではないでしょうか? バスガイドさんも「視障協の旅行では前日に雨が降っても、必ず当日は晴れてましたよね」とびっくりしたと話していました。

 とはいえ何時も明るい皆さんの事ですから、自己紹介では「楽しみにしてたのに、こんな雨で、さつま芋掘りは出来るのか」との声が多く聞かれ、張り切っている感じでした。私は体験がないため、足下が泥だらけになるのを恐れ、想像するだけで、身が退けてしまいます。窓を叩く雨音を聞きながら守谷サービスエリアでトイレタイムを取り、一路フォレストパーク・メロンの森へ向かいます。後から聞いた話では到着した頃が、天気予報で一番雨量の強いときだったそうです。

 メロンの森の社長さんの話では「今年の夏の暑さに、野菜はだめですがメロンは絶好調、とても甘くて最高なんですよ。ところがさつま芋掘りの方は畑の土は軽く混ぜてあるだけなので、雨が入り込んでくると泥沼のようになり、足を入れると腰のあたりまで、ズブっとなります。そんな状況なので、楽しみにされていたと思いますが、今日は無理のようです」と話されました。

 本当にこんな雨では仕方がありません。社長さんのご厚意で、休憩室に皆さんで座りお茶を頂きながらホカホカの焼き芋と甘くて柔らかい、へこきまんじゅうをご馳走になりました。こんな経験も数年たてば思い出に残るバスハイクとなるでしょう。さつま芋の入ったダンボール箱をお土産に頂き、メロンの森を後にしました。

 鹿島サッカースタジアムを横目にしながら、次の潮来ホテルへ到着する頃には、少しずつ雨も止んで来たようです。おいしい昼食の後、川の方へ散策に出かけた人たちが潮来笠と潮来花嫁さんの歌碑がありますよと教えてくれましたが、時間がないので見送りました。結局、雨は止んだものの川が増水してるため、遊覧船には乗れないとの報告にちょっとがっかりです。現在でも、潮来花嫁さんを一般から公募して、本物の結婚式を昔ながらに挙げていると言う話に、ギッチラギッチラコと歌詞が浮かんで来ました。舟の花嫁さんはさぞかし美しいのでしょう。

 次は佐原の蔵の町見学。埼玉にある川越の蔵の町へ行った事はありますが、こちらは昔のままというような話なので、時代を感じさせます。今は合併されて、香取市になったとの事でした。

 町の中を流れる小野川、その川に沿ってしだれ柳が植わっており、とても風情があります。

 また遊歩道が続いており、散策しながら、店をのぞいたりと楽しめるようになっていました。昔はこの川から江戸へ向けお酒や米などを舟で運んで行ったそうです。

 三菱銀行跡にも入ってみました。表側がレンガ造りになっており優雅な感じがします。大きな金庫を眺めながら、下総の田舎の町に銀行があるなんて、どれほど町は栄えていたのだろうかと、時代小説の好きな私は遠い昔に思いをはせました。

 町には小さな店が並んでおり、奥行きは深そうです。「中庭を見て行って下さい」と声をかけられましたが、入りませんでした。またこの町は日本地図を最初に作った伊能忠敬の生家としても有名なところです。記念館などもありました。

 事務局長の千歳さんが「ここは自分に取っては庭みたいなところ、思い出深い土地なんです。昔、子供の頃に、父親がよく釣に連れて来てくれたんですよ。大人になってからは自分が今度は父親を連れてよく来ました」と話してくれました。千歳さんにとって佐原は懐かしいところなんですね。釣り上手はここから始まったのでしょうか?

 少し離れたところに、東薫酒造というのがありました。視障協にとっては欠かせない見学場所です。創業文政8年(1825)といいますから驚きです。お酒には日本全国色々面白い名前が付いていますが、頭をひねってその土地に合った名前を考えるのでしょうか? 好きな方にとっては、試飲したり、お土産を求めたりと楽しいところです。

 さてこれで見学は終わりと思ったら、「皆さん、お土産を買い足りないでしょう? 途中に新しく出来た道の駅があるので、そこへ寄りましょう」とバスガイドさんからの提案があり、落花生の見分け方として、皮が汚い色で不細工、むいて薄皮の裏を見て黄色いのが日本製、白いのは違うと教えてもらいました。皆さん、うまくおいしい落花生を買えたでしょうか?

 この道の駅、この一角だけに点字ブロックが引いてあり、ラーメン屋さんなども並んでいるので、ブロックをたどれば一人でも歩けそうな感じです。
 安くて良い物がありましたが、さつま芋のダンボール箱を思い浮かべたら買えませんでした。車で移動する人にとっては便利なところです。

 さつま芋やお酒、他に色々、皆さんの思い出を乗せて、一人のケガもなく、バスは江戸川へ帰り着きました。事務局やガイドの皆様、本当にお世話になりました。今回は雨という事もあり、会員さんの一言メッセージは頂きませんでした。代わりに、バスガイドの中蔦さんと松浦さんに日頃のご苦労などを聞いてみました。次回の旅行では絶対にお天気でありますようにと願いつつ帰途に着きました。


バスガイドの中蔦さん
☆ 何時も皆さんとご一緒させて頂いてますけれども、もう何年も一緒に来てますが、大雨になったのは初めてなので、今日はすごく驚いている一日です。でも雨で欠席する人がいるのかと思ったのですが、さすがNPOの皆さん、全員出席です。素晴らしいです。

添乗員の松浦さん
☆ お世話になっております。私、何時も旅のお供をさせて頂いております松浦です。温かい会長さんを始めと致しまして、事務局の方もアットホームで、何より会員の皆様一人一人、ヘルパーさんも含めて優しい人ばかりで、旅は楽しくという事で、今日もケガなく無事に送れればと思います。




旧中川灯籠流し  星野 勇




 今年もまた8月15日、終戦の日、敗戦の日がやって来た。どうしてもあの恐ろしかった空襲、戦争の事がよみがえってくる。

 6才の頃は江戸川区逆井2丁目に家族と住んでいた。
 警報のサイレンが鳴ると電灯に黒い布がおおわれ、部屋を暗くした事を覚えている。空襲が激しくなって、昭和19年の暮頃、祖母と妹、私の3人は宇都宮の親戚に疎開して行った。家族が離れ離れになったのだ。でも元気だった。

 昭和20年正月、妹が生まれた。東京に戻り連れられて逆井の家に着いた。小さな赤ん坊が寝ていた。夜になり空襲警報が鳴って、突然、ビューン、ドカン、ビューーン、ドカンとカン高い大きな音が2回聞こえた。爆弾が近くに落ちたと言う。翌朝、父が行って「でっけえ穴があき、家が壊れ、血が飛び散っていた」と言っていた。宇都宮に戻る。雪と風が冷たく、晴れても寒かった。でも元気でいた。

 そんなある日、昼頃突然、母親と兄達、妹の加代子が乳飲み子でやって来た。ビックリしたが家族が増えてうれしかった。母が言うには「おじいさんから東京は危ない。すぐ空襲が来るかもしれない。すぐ疎開しろ」と言われ、取る物も取り敢えず慌ただしく来たのだ。

 夜になって寝たら空襲のサイレンが鳴って起こされた。外に出るよう言われて出たら冷たい大風が吹きつけて身震いした。暗い中に兄が指差す方を見た。赤い光、赤い物が横に広がっている。時々キラキラ光る。誰かが東京の方角だと言っていた。その赤い光が弱くなるまで見ていた。寒い風はおさまらない。翌朝は3月10日、まわりから夜中は東京に大空襲があったと聞かされたが、詳しくは何もわからなかった。

 3、4日過ぎて、東京から長兄が焼け焦げ、汚れた服、ズボンでやって来た。祖母、母は身なりを見て温かく迎えた。兄は言う。「東京は丸焼けになった。住んでいた家はない。10日未明の戦火はものすごく、火と煙、突風の中を息苦しいので必死に逃げた」と語る。みんな聞いている。兄は言う。口ごもりながらも続ける。父は元気だが、祖父、おじいさんは逃げ切れず、中川新橋のそばで死んだ。遺体はあがった。すると耳をすまして聞いていた顔、顔が曇り、祖母と母は泣き出し、それが大きくなっていった。子供達は悲しく俯いていた。数日して長兄は東京に戻った。3月末頃、母が今年は学校に行くのだが、お前は早生まれだから来年にあがろうと言う。私はよくわからなかったが、勉強しなくてもいいのだとわかった。春が来て、梅雨が来る。

 ある時、家主のおばさんが「今日はけちん坊親父がいないから」、そう言って蓄音機を出してくれた。兄が壊れやすい音盤をのせてゼンマイを回すと、クルクル回転し歌が流れてきた。本当に不思議だと思った。正座をして聴いたが楽しい事だった。蓄音機の大きなラッパに触れたり、首をつっこんだりした。

 恐怖の7月12日。明日はお盆だ。午後になって父と長兄が、東京から食べ物をリュックに詰めてやって来た。祖父の新盆で来たのだ。見渡すと家族全員が揃ったのだ。積もる話を聞いて夜は眠った。突然「空襲だ」の声でたたき起こされた。逃げるのだと言われ、布団の後ろをかぶって母と田んぼに向かって逃げた。ぬかるんで下駄はなくなった。焼夷弾で里芋の葉っぱが燃えている。振り返ると寝ていた家が燃えている。まわりの家もみんな燃えて昼間のように明るかった。B29の爆弾がすさまじく、銀の翼がゆっくり飛びかって焼夷弾、爆弾を落としていた。怖かったがいつの間にか眠ったようだ。朝になり焼け残った近所の豚小屋の藁の上で目覚めた。焼け焦げたジャガイモがとても美味しかった。

 焼け野原にバラックを建ててくれて住んだが、宇都宮の駅も焼けていた。だが昼間は艦載機がたくさん飛んできて、機関銃を発射してくる。危険だ。それで、秩父に疎開しようと母が言い、宇都宮から離れた。途中大宮駅で降ろされた事を覚えている。夜は何処で寝たのかわからない。

 蒸気機関車は秩父線を走り、田舎のある駅に着いて降りた。子供達は迎えにきた荷車に乗せられ、親戚の家に着いた。山が近い。小鳥はさえずり、蝉は鳴き、緑は濃く、飛行機の爆音は聞こえなかった。天国に来たみたいだった。川が近くに流れていた。透き通ったきれいな水だ。ここは荒川といって長瀞の上流だと聞いた。子供らはみんな裸だ。

 そんなある日、青空の下、川の浅い所で水浴びをしていたら、兄達が帰るようにと言う。昼時かと思い、衣類を身につけて家に戻った。大人達が泣いていた。ハンカチ、タオルで顔を被い、手で顔を被い泣いていた。どうしたのと聞く。日本は戦争に敗けた。戦争が終わったと知らされた。8月15日の昼下がり。私はただポカンと突っ立っていた。

 これから戦後になって食糧難と飢餓、ひもじさ、貧乏が襲ってくる。秩父の冬は寒くて大雪、大風がきた。大雨で川が急に大きくなり、茶色の水が怒って下って行った。芋と葉っぱを食べた。

 21年春入学したが、遠くまで通った。10月になり東京に戻った。昭和23年秋に妹が生まれている。戦後秩父でも東京でも流行歌が流行った。兄達が覚えてきて口ずさむ。それを私もいつの間にか口ずさんでいた。唱歌と流行歌は歌い分けていた。こうして覚えた歌は今でも忘れない。カラオケで口ずさんでいる。

 平成22年は不順な天候だった。春は小松川の千本桜で花見が催されたが曇ってとっても寒かったこと。梅雨が明けて夏になった。毎日が熱帯夜。猛暑が続き、熱中症も多発した。

 そして8月15日も晴れた。28.6度から35.5度と熱帯夜、猛暑だった。月齢5.0である。夕方6時過ぎ、Tさんにガイドされ外に出た。蒸し暑い。旧中川の河川敷を北進する。汗が出る。逆井橋、亀小橋をくぐって行く。中川新橋が近づいてきた。歩きながらTさんに話した。65年前の3月10日、祖父がこの辺りで水没し霊界入りされたと言う。生前父がよく話していたのによると、夜中に敵機の大軍がきて焼夷弾、爆弾を落とし始めた。すごい爆音と、飛び出してきた火と声があふれていった。家並みが、家の群れがたちまち火に包まれて明るくなった。突風がきて火炎が強くなる。3人ははぐれた。朝になり、家がまる焼けになったと知る。長兄と父はまっ黒い顔をして再会できた。しかし祖父はいない。くすぶる中を探して中川新橋にやって来た。川はお湯になっていた。たくさんの遺体が引き上げられ、ころがり横たわっていた。そこに祖父が横たわっていた。遺体は引き取れない。爪と髪の毛を切った。お金を4、50円持っていた。大金だ。酒が好きだったから強いアルコールの瓶を懐に入れていたという。

 今、中川新橋下をTさんと過ぎた。歩いて行く。足音、人の声が賑わってきた。スピーカーから多田区長さんの挨拶と慰霊の言葉が聞こえてきた。歩きながら丁寧に聞いた。灯籠流しは今年で12回目という。ふれあい橋護岸に着いて受付で舟灯籠を500円で買った。冷えた1杯のお茶をいただき美味しかった。都議会、区議会、町会、自治会の人達が読まれる。江東区、墨田区の人々もみえていた。対岸にもたくさんみえていたという。Tさんに祖父の名を書いていただいた。舟の囲いの底にロウソクが1本立っていた。大きさ30cm位の灯籠は赤、黄、緑などの色付けをしている人もいた。黙祷があって19時前、花火がドンと上げられ、太鼓が鳴った。

 灯籠に火が灯され砂(重し)が入れられ、順に流されて行く。私はTさんに水面に浮かべていただいた。たくさんの灯籠が明るく上流に、江東新橋に向かってゆっくりゆっくり流れて行った。Tさんに「合掌するのよ」と言われ、あわててした。でも幻想的な場面だと思った。そっと賑わいから離れた。
 帰り道、祖父に少しでも供養できたかと思った。空を見ていたのか、Tさんが「半月より少し痩せたお月様が浮かんでますよ」と言っていた。

                             平成22年 秋




暮らしのア・ラ・カ・ル・ト




1.会員おすすめのお店


カフェ リネア

 視障協会員・田名後浩子さんの義妹・亜希子さんがやっている「カフェ リネア」の紹介です。

 北欧風のくつろぎのカフェで自慢の手作りケーキとおいしいコーヒーをどうぞ。テイクアウト出来ます。

 ランチメニュー(11:30〜15:00) ランチセットはいずれも1050円
  レディースプレート(おかずケーキ・サラダ・ドリンク・ケーキ付き)
  レディースカレー (カレー・サラダ・ドリンク・ケーキ付き)  他

住  所 : 江戸川区北葛西4-13-2 青木ビル1F
電  話 : 03-5878-1288
アクセス : 東京メトロ東西線西葛西駅北口から徒歩8分
       葛西橋通り西葛西4丁目歩道橋を渡り、第三葛西小学校側
営業時間 : 11:30〜19:00(定休日毎週日曜・第1・3月曜日)

ホームページ : http://www.cafe-linnea.com/


サンサール 小岩店


 本格的ネパール料理、インド料理のお店。

 常連の会員さんも多く、ネパール人のママ、ウルミラさんが親切に応対してくれます。
 ランチタイムに是非どうぞ。(A・Bランチあり)

住  所 : 江戸川区南小岩5-18-16 ニューシャトレー103
電  話 : 03-5668-3637

アクセス : JR総武線小岩駅南口から徒歩10分
営業時間 : 11:00〜14:30 17:00〜22:30  年中無休

ホームページ : http://okanoue.pose.jp/sansar/



2.便利グッズの紹介


  炭酸抜けま栓 EZキャップ

 1度栓を開けた炭酸飲料は、どんなに固く栓を閉めても、段々と炭酸が抜けてしまいます。EZキャップは、空気の圧力で炭酸が抜けるのを防ぐキャップです。使い方は、ペットボトルの飲み口に付け、ポンプでボトル内に空気を送り込みます。ポンプを押す回数の目安は、1.5リットルのペットボトルで飲料が半分残っている場合、20回程度です。西友や東急ストアに置いてあります。

   大きさ   :幅6cm×奥行4.5cm×高さ7.5cm
   適応サイズ :口径2.5cmのペットボトル容器
   価 格   :472円

   お問い合わせ:プリヴェAG(株) 03-6230-0153


  マジカルカバー(洗濯物を雨から護るカバー)

 マジカルカバーは、外に干した洗濯物にかぶせておくだけで、突然の雨、花粉、黄砂、鳥の糞から洗濯物を護ります。カバーは、特殊加工した不織布(ポリエチレン)を使用。カバーにはごく小さな穴が空いているため、雨水、黄砂、花粉を通す事なく、洗濯物の水蒸気を外に逃がします。直射日光に当たらないので、紫外線による衣服の変色も防げます。ご使用の際は、風でめくれないように、物干し竿などに洗濯バサミでとめて下さい。

   大きさ   :縦1.5m×横2.1m
   重 さ   :150g
   価 格   :2940円    お問い合わせ:アイクォーク092-626-0202



3.読書の秋におすすめの本


 折り紙作家、故加瀬三郎氏の折り紙による交流活動を紹介した新刊書が刊行されましたので、ご紹介します。

  『折り紙でたくさんの笑顔を』

  ─ 盲目の「折り紙大使」加瀬三郎物語 ─  文と写真・田島栄次

    第1章  折り紙にちょうせん
    第2章  夢に向かって
    第3章  走れ! 折り紙号(アメリカ横断の旅へ)
    第4章  新しい作品を求めて(アフリカの動物にふれて折る)
    第5章  世界の子どもたちのために(命あるかぎり、折り紙の旅を続けたい)
    第6章  5万人のハローフォックス
  ※ 都盲協・片岡事務局長(03-3208-9001)までお申し込み下さい。


  国立リハセンターの茂岡教官が毛筆で書かれた本です。

   『弱視者のための日本文学史』

     編著者 … 岡村 文雄
     発行所 … (株) 大活字
     定価  … 4600円(税別)

    第一章  上代文学(奈良朝以前の文学)
    第二章  中古文学(平安時代の文学)
    第三章  中世文学(鎌倉・室町時代の文学)
    第四章  近世文学(江戸時代の文学)

 ※ デイジー版を作成していますので、本会事務所(03-3877-0089)までお申し込み下さい。




ニュースあれこれ




全盲ランナー力走

                    (読売新聞群馬版・9月4日より)

 「第29回あかぎ大沼・白樺マラソン」が8月29日に行われ、東京都江戸川区に住む視覚障害者の和田彰さん(75)が10キロの部に出場した。妻の紀代子さん(69)が伴走し、1時間33分56秒でゴールした。

 彰さんは病気で45歳の時から、だんだん視力が落ち、54歳頃に完全に視力を失った。わずかに視力が残っていた53歳の時、はり・きゅうマッサージの訓練のために通っていた国立身体障害者リハビリテーションセンター(埼玉県所沢市)の運動場で、白線を頼りに一人で走り始めたのがマラソンに挑むきっかけだった。

 56歳の時に日本盲人マラソン協会の存在を知って入会。紀代子さんが伴走し、マラソンツアーに参加するようになった。彰さんの練習に付き添っているうちに、マラソンとは無縁だった紀代子さんも長距離を走れるようになった。

 彰さんは1996年に大腸がんを患い、手術を受けた。一時はマラソンをあきらめかけたが、リハビリを重ねて克服。2003年4月には、秋田県大館市の「山田記念ロードレース」を完走、47都道府県すべてのレースを制覇した。

 彰さんは、「今の目標はフルマラソン100回出場。あと43回。まだまだ元気ですよ」と笑顔を見せていた。


第47回点字毎日文化賞 財団法人杉山検校遺徳顕彰会に

                   (毎日新聞・10月2日朝刊より抜粋)

 視覚障害者の文化や教育、福祉の向上に貢献した個人や団体を表彰する「第47回点字毎日文化賞」受賞者は、江戸時代に日本の鍼灸発展と視覚障害者教育に尽くした杉山和一検校を顕彰する、財団法人杉山検校遺徳顕彰会(和久田哲司会長)に決まりました。

 杉山和一(1610〜94)は、幼くして失明。管鍼術を生み出し「鍼治講習所」を設立して、視覚障害者に教育と鍼灸での職業自立の道を開きました。同会はその功績に感謝し、技術を後世に継承することを目的に1902(明治35)年に発足、30(昭和5)年に財団法人の認可を受けました。

 今年は、杉山検校生誕400年を記念する式典を開催。東京都墨田区の江島杉山神社内に歴史的資料を伝える記念館の建設を計画するなど、杉山和一の業績を広く社会に伝え、視覚障害者の社会参加や教育、就業など今日の問題を問い直す契機となる活動が高く評価されています。

 表彰式は10月22日、毎日新聞東京本社で行い、本賞(盾)ならびに副賞の中村京太郎賞(置き時計)と日盲委奨励賞(30万円)を贈ります。

   ─ 「手づくりの治療」次世代へ受け継ぐ ─

 「まさに鍼灸で飯を食わせてもらい、大学で研究までさせてもらった。杉山検校がいなければ、今の私はありません」。点字毎日文化賞の受賞が決まった(財)杉山検校遺徳顕彰会の和久田哲司会長(67)=全盲=は、杉山和一と弟子たちによって受け継がれてきた技術と恩恵に自らも浴してきたことへの感謝を感慨深げに語る。

 盲学校で教員生活をスタートし、筑波技術大学教授を退官するまで臨床実習を担当し、多くの学生を鍼灸師に育ててきた。
 視覚障害者が同じ視覚障害者を指導する教育が300年以上続いているのは、先人たちの努力があったからこそ。

 鍼灸治療は現在、現代医療と組み合わせる形でも活用され、世界的に注目されている。治療効果の科学的研究も進められているが、和久田会長は杉山和一が日本に定着させた伝統的な鍼灸の良さも再評価されてほしいと願う。それはいわば、患者とじっくりと向き合う「手づくりの治療」。患者に癒やしを与える意味からも価値が高いと考えられている。
 そこに対応できる技術と心をもった後輩を育て、活躍できる場を守ることが、今を生きる世代の役割だと、和久田会長は話す。




えどもう歌壇




  〈工藤 博史〉

     稀に見る暑さしのいで仰ぐ空 日の傾きに秋の気配を
     夏の宵空を彩る大輪の 散りぎわいとし江戸の花火よ

  〈和田 彰〉

     ゴーゴーと岩にくだける水の音 寒きに氷る袋田の滝
     名月がスカイツリーの上にあり 灯籠のごとく東京照らす

  〈長谷川 とくよ〉

     白萩は風にそよぎて陽に映えり 上野の森に曼珠沙華炎ゆ
     手をつなぎ友と踊ろうレクダンス 動きやさしも「世界はひとつ」

  〈田名後 浩子〉

     秋風と水琴窟の音涼しげに 心やすらぐコーヒータイム

  〈松田 恵子〉

     肌寒く秋雨軒にとよもして 月は何処に今宵十五夜

  〈成田 貴美代〉

     雨やみて流る小野川蔵の町 過ぎし時代を見つめつ今日も

  〈松本 俊吾〉

    有明の海を抱いて吉野ヶ里 古代の道は遥か彼方へ
    クルクルと回る轆轤の姿変え 掌滑べし碗丸み帯び
                         (有田焼工房にて)

  〈渡邊 登〉

    朝なさな数値気にしつそっと乗る 音声秤の声は高らか
    幾人の会いたき人をいづこにか 隠して無窮の秋の空澄む




編集後記




 「アイネット」の編集委員に参加して、早いもので2年目を迎えました。最初は、多少戸惑いを感じましたが、先輩方にアドバイスしていただきながら、いろいろと学ぶことができて、今では楽しく思えるようになりました。

 さて、「アイネット22号」はいかがでしたでしょうか。今後、より充実した内容にして行くためにも、ご意見ご感想をお聞かせいただけると幸いです。

また、編集委員会では、皆様からの投稿を随時募集しております。俳句、短歌、エッセー、旅行記、便利グッズ、グルメ情報など、ジャンルは問いませんので、よろしくお願いいたします。
 長期予報では、この10年で、最も寒い冬になるといわれています。
 皆様、どうぞ、体調にお気をつけください。             (K)





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